
不倫・浮気相手の不法行為の証拠があれば、慰謝料の請求ができます。
双方の話し合いで解決しない場合、裁判にて慰謝料の請求を行います。
目次
1.慰謝料を請求するためには浮気の証拠が必要である
夫(妻)の不倫・浮気相手に慰謝料を請求するには、本人が不貞行為があったことを認めない場合、証拠となるものが必要です。
浮気相手が不貞行為(不倫・浮気)を認めているケース
本人が不貞行為を認めた場合は、話し合いで慰謝料の金額と支払い方法(一括・分割)を決めて示談書(和解書)を作成します。
示談書は弁護士や行政書士に依頼して作成してもらいます。間に専門家・第三者が入る事で、示談書のプレッシャーが相手にとって大きくなります。

請求額はケースバイケースですが、50万円~200万円ほどのことが多いようです。
相手も裁判沙汰にされたくないため、黙って示談を受け入れることも多いです。
浮気相手が不貞行為(不倫・浮気)を否定しているが、証拠があるケース
本人が不貞行為があったことを否定している場合は、第三者(友人・親戚・弁護士)に間に入ってもらい話し合いを進めます。
または、家庭裁判所に慰謝料請求の調停を申し立てます。

こうなると、その後離婚へ発展するケースが多くなります。離婚請求、慰謝料請求と財産分与請求を同時に進めます。
子供の為に離婚しない道を選ばれるケースもありますが、その後の生活はとても良いとは言えません。
不倫・浮気の証拠として認められるもの
証拠になるもの!
- ラブホテルへの出入りが確認できる写真・録画(3回以上。1回の浮気では慰謝料を請求するのが難しいため)
- 夫(妻)や浮気相手の住居の出入りが確認できる写真・録画(5回以上、1回の浮気では慰謝料の請求が難しいため)
- 夫(妻)と浮気相手のメール(画面の写真・紙にプリントアウトしたもの)
ラブホテル・住居の出入りは滞在時間が40分以上あったことが分かるものが必要です。
40分より短いと、性的関係があったかが疑わしいとされているためです。
また、浮気の証拠としてメールのみでは証拠として弱いため、他のものを証明するために提出する必要があります。
2.メールやLINEの内容だけでは、浮気の証拠にならないの?
浮気の証拠としてはメール・LINEの内容を提出するだけでは、慰謝料を請求するのは難しいのです。
なぜなら、メール・LINEの内容で浮気の疑いが分かるだけで、”浮気をした証拠”と、認められないからです。
メール・LINE内容を証拠として提出するケース
浮気相手に慰謝料を請求する場合、「既婚者だと知らなかった」「独身だと言われていた」と相手が言い張る事があります。
実際は、既婚者だと知っていて付き合っていた場合でも、慰謝料を支払いたくなくて嘘をつく可能性があるのです。
しかしこの場合は、メール・LINE内容で「相手が既婚者だと分かっていた」とされるやり取りが手に入った場合、証拠として提出すると慰謝料請求に有利に働きます。
よって、あなたが「浮気相手が故意に不法行為(不貞行為)をしていた」証拠を持っているなら慰謝料の請求時に使えます。

メールやLINEでは浮気の証拠としては不充分ですが、相手が故意に不貞行為をしたことだけは証明できます。
メールやLINEは補助的な証拠になるのです。
浮気相手が夫が既婚だと分かっていることが証明できる内容例
既婚者と分かるメールのやり取り例
夫からのメール内容
「今日は、妻に出張と言ってあるから泊まれるよ。」
「妻とは今年中に別れるから」
※妻がいる事実を相手へのメールに書いている。
浮気相手からのメール内容
「奥さんにばれない?」
「早く、奥さんと別れて一緒に暮らそうよ」
※妻の存在があるのを認識している内容。
3.浮気・不倫で請求できる慰謝料の金額は?
不貞行為(不倫・浮気)で請求できる慰謝料は、2人(夫と浮気相手)あわせて200~300万円とされています。
浮気相手だけに慰謝料の請求をする場合は300万円が上限となります。夫と離婚しない場合は、浮気相手にだけ請求するケースがほとんどです。
しかし、夫にも慰謝料を請求する場合は300万円の半分の150万円となってしまいます。
4.慰謝料の話し合いが進まない場合
当事者同士の話し合いでは、慰謝料の話し合いが進まないケースの報告が多くされています。
証拠が揃っている場合は、第三者(友人・親戚・弁護士)を入れた話し合いで解決します。
例えば、妻側が「慰謝料の支払いを拒否するなら、裁判で争いますか?こちらに証拠がありますよ。」と言えば、相手も応じることが多いからです。
5.第三者を入れた話し合いに浮気相手が応じない場合は?
浮気相手が、第三者を入れての話し合いにも応じない場合は“民事調停”・“民事訴訟”にて慰謝料の請求をします。
民事調停とは?
民事調停とは、いろいろなトラブルを家庭裁判所にて裁判官・調停委員を交えてアドバイスをしながら話し合いで解決するためのものです。
【関連ページ】裁判所の管轄区域
民事調停の手続き
相手方の住所地のある家庭裁判所に申し立てをします。民事調停を申し立てる際に必要なものは、下記の通りです。
慰謝料請求での民事調停申し立てに必要なもの
- 申立書1通(家庭裁判所で入手します。裁判所ホームページからもダウンロードできます。)
- 収入印紙(請求する慰謝料の金額で変わります。※200万円の場合7500円・300万円の場合10000円)
- 郵便切手800円程度(裁判所により違います。)
- 証拠(写しでも可)
※審理に必要とされる書類があった場合、追加提出を求められる可能性があります。
【関連ページ】慰謝料請求調停の申立書
民事訴訟とは?
損害賠償の請求・身分関係に関わる紛争が対象です。
簡易裁判所・地方裁判所にて、裁判官と調停委員を入れて解決に向けたて判決を出します。
訴訟の途中でも、和解で解決することもあります。この訴訟の判決結果が確定すると、様々な請求権利の執行も行われます。

民事訴訟は、請求する金額が140万円なら簡易裁判所・140万円以上なら地方裁判所に民事訴訟の提起をします。
民事訴訟に必要なもの
民事訴訟の提起は、相手方の住所地のある簡易裁判所・地方裁判所です。
民事訴訟の手続きに必要なものは、下記の通りです。
慰謝料請求で民事訴訟に必要なもの
- 訴状 1通(各裁判所にて入手するか裁判所のホームページからダウンロードができます。)
- 収入印紙(請求する慰謝料の金額で変わります。※200万円の場合15000円・300万円の場合20000円)
- 郵便切手800円程度(裁判所により違います。)
- 証拠(写しでも可)
※進行に必要とされるものがある場合、追加提出を求められる可能性もあります。
【関連ページ】人事訴訟手続
今回のまとめ
証拠がある場合、不倫・浮気相手に慰謝料を請求できます。相手が話し合いに応じない場合は、調停の申し立て・訴訟の提起が必要です。
しかし、訴訟になってしまうと手数料だけでも高額になってしまいます。
弁護士を介した示談ですませるか、民事調停の話し合いでお互い歩み寄って解決することを、お勧めします。

訴訟に発展する前に、途中で和解は示談で終わるケースは多いです。
弁護士などを味方に付けて「私は本気」という態度を示せば、訴訟まで進む可能性は低くなります。