
現在では、姑に対する慰謝料の請求は証拠があれば可能です。
基本的には、夫婦生活を維持する努力を怠った夫に慰謝料を請求することになります。
目次
1.姑に慰謝料を請求するためにはどんな証拠集めが重要?
“慰謝料”を請求するということは、加害者から被害者がお金という形で損害賠償をしてもらうことです。
その為には、姑が嫌がらせをしている証拠を用意し、裁判官に認められる必要があります。
姑の嫌がらせで慰謝料請求できないケース
Aさんは夫の姑と同居していて「いつも、嫌みを言われる」「出した食事に必ず文句を言われる」ていた結果、精神的に病んでしまい別居して離婚まですることになった。

このケースでは姑に慰謝料請求が出来ません。
なぜなら、個人によって「何を言われたら・されたら傷つくか?」などが違うためです。
「同じことをされても、平気な人がいる」と解釈できたり証拠がない場合は、慰謝料の請求が難しいのです。
姑の嫌がらせで慰謝料請求できたケース
Bさんは夫の姑と同居していて、毎日のように嫌がらせをされていて、結果的に離婚になった。
Bさんは「姑のいじめを録音・録画・日記に残してある」「夫が、姑行為を認めて謝罪した書類や証拠がある」。さらに、「外でホウキや棒で叩かれたのを、仲の良いご近所の人が見ていた」

このケースでは慰謝料の請求が可能です。
なぜなら、誰が見ても姑が嫁に対して常軌を逸した行動と認められる証拠が残っているからです。
このように、姑に慰謝料を請求したい場合は、常軌を逸脱している嫌がらせの証拠を残しておくことが重要となります。
2.姑の嫌がらせで夫に慰謝料を請求できる?
姑からの嫌がらせで離婚になった場合では、夫に慰謝料を請求できる可能性があります。
例えば、“悪意の遺棄”が認められるケースです。
悪意の遺棄とは?
悪意の遺棄とは、結婚をしたら夫婦は協力して家庭を守る義務(民法752条)を放棄した状態のことです。
悪意の遺棄と認められる事例は、下記の通りです。
悪意の遺棄と認められる事例
- 同居していて生活費を妻に渡さない
- 妻に別居後の生活費を入れる約束をしたのに、払わない
- 妻を故意に家から追い出そうとする
- 浮気相手と同棲して家に帰らない
- 理由もなく家に帰らない
- 妻(夫)を虐待する
- 健康なのに夫が働かない

姑が妻に対して虐待をしていても、それを止めない(知らん顔している)、また、一緒になって姑に加勢・放置するなども悪意の遺棄になります。
3.姑と夫の両方に慰謝料を請求できるの?
“共同不法行為”(民法第719条)が認められれば、姑・夫の両者に慰謝料を請求することができます。
しかしこの場合、姑・夫に慰謝料を請求してもすぐに支払いに応じてくれるケースは多くありません。
よって、離婚調停や財産分与請求調停で慰謝料について話し合うことになります。
共同不法行為とは?
共同不法行為とは、複数の人間が共同で不法行為を行うことです。今回の姑の嫌がらせの場合は、婚姻の継続を難しくする・妨害する行為になります。
調停で慰謝料を請求する場合は、証拠を集めておく必要があります。
今回のケースが当てはまる例は下記の通りです。
共同不法行為に当てはまるケース
- 「お前(妻)の味方になるから、両親と同居して欲しい」と同居を始めたけれど、姑からの嫌がらせを相談しても、「お前の努力が足りない」と姑の行為を無視する。
- 夫のDVが酷く、姑に相談したら「あんたが悪いからA雄が手を出すんだ!」「嫌なら、離婚すればいい」と夫の暴力を止めずに、妻を責める。
- 夫が浮気をして姑に相談したら「男は浮気するもの!だから責めるのはおかしい」「浮気相手と再婚するほうが、あの子は幸せになる」などと妻を責めて夫を擁護する。

普通に考えれば、常軌を逸脱した発言や行動になりますよね・・。
ですが、実際にこういったことで悩まれる方は少なくないのです。
4.離婚調停を申し立てましょう
夫が姑の嫌がらせを止めてくれなかった場合、協議離婚で慰謝料を請求しても「お前が離婚したいと言い出したのだから、そんなの支払う義務はない!」と突っぱねられる可能性があります。
よって、弁護士に依頼するか離婚調停を申し立てて、家庭裁判所で争うことをお勧めします。
弁護士に依頼するべき?
「離婚調停を申し立てることにしたけど、強気の夫と対峙するのがつらいし不安」「姑からの嫌がらせで、精神的に疲れていて調停に出廷する元気がない」という方も多いと思います。
このように顔を合わせたり何か行動を起こすことが辛い場合、弁護士に依頼すれば自分の代わりに夫と話し合って慰謝料や財産分与の話し合いをしてもらうことが可能です。
夫や姑との関係が悪い場合、自分でこの二人に離婚や慰謝料の申し出をして財産分与の交渉までを行うことは、かなり困難になります。
こういった方たちのために法律が有り、専門家である弁護士がいます。
弁護士依頼費用は50万円前後とそれなりにかかってしまいますが、辛く苦しい状況を抜け出して新しい人生のスタートを切ることが可能になります。
離婚調停の申し立ての手続き
離婚調停の申し立て先は、夫の住所地の家庭裁判所か夫婦が合意した家庭裁判所にします。
この申し立て時に、“財産分与請求調停”の申し立ても一緒にしましょう。
申し立てに必要なものは、下記の通りです。
離婚調停申し立てに必要な物
- 収入印紙1200円分
- 郵便切手800円程度(裁判所によって違います)
- 夫婦関係調停申立書又は写し1通(家庭裁判所又は、裁判所ホームページにてダウンロードができます)
- 財産分与請求調停申立書又は写し1通(家庭裁判所又は、裁判所ホームページにてダウンロードができます)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明証)
- 資産・財産に関する書類(残高がわかる通帳のコピー・不動産登記事項証明証・固定資産評価証明証など)
- 陳述書(裁判官に婚姻してから現在までの経緯・離婚の原因・自分が望んでいることを説明するための書類です)
※審理のために必要と判断された場合、追加書類の提出を求められることもあります。
今回のまとめ
姑の嫌がらせが原因で離婚する場合、姑への慰謝料を請求は証拠を揃えておく必要があります。
姑・夫への慰謝料の請求が話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に離婚調停・財産分与請求調停を申し立てをしましょう。
弁護士に依頼する余裕がある場合は、依頼して精神的負担を減らし、新しいスタートを切りましょう。

嫁姑問題で一番辛いのは、精神的なストレスです。
法律は知っている者の味方をしてくれますので、弁護士の無料相談なども利用してみてはいかがでしょうか。