
最初から裁判所へ訴訟する必要はありません。
「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」と手順を踏む必要があり、それでも解決しないときに裁判所へ訴訟し、「裁判離婚」に行き着きます。
目次
離婚を進めるための一般的なステップ
夫(妻)の浮気、暴力や暴言、姑との衝突、ギャンブルや借金など、結婚生活の中でうける苦痛から早く開放されたくて「離婚裁判なら、早く終わる」と多くの方が思っています。
しかし離婚を進めるためには、一般的に「1.協議離婚」「2.調停離婚」「3.審判離婚」「4.裁判離婚」と段階を踏む必要があります。
離婚を進める流れ
- 協議離婚(夫婦間で話し合い)
- 調停離婚(家庭裁判所で話し合い)
- 審判離婚(調停委員が職権で離婚させる)
- 裁判離婚(裁判所法廷で争う)

どんなに関係がこじれていても、いきなり離婚裁判をすることはできないのです。
1.協議離婚
夫婦間での話し合いで合意した場合、離婚届を市区町村役場へ提出し受理されると協議離婚が成立します。
離婚する方の9割がこの協議離婚によって離婚をしています。
2.調停離婚
夫婦の一方が離婚に同意しない場合や、財産・養育費・慰謝料・親権などでもめた場合は「家庭裁判所で離婚の調停」の申し立てをします。
この「調停離婚」は、家庭裁判所で調停委員が立会い、もめている全ての問題について話し合いをして決定していきます。
3.審判離婚
審判離婚とは?
審判離婚とは、次に記載する1.2に該当する場合に、調停委員が職権にて離婚の処分を下すことです。
審判離婚に該当するケース
- 調停離婚で、どちらか一方の同意が得られなかった場合。
- 調停委員が夫婦の公平を考えて離婚したほうが良いという判断をした場合。

これを「調停に代わる審判」と言います。
双方の同意がなくても、強制的に離婚が成立します。
審判離婚が認められるケース
ここで審判離婚が認められるケースをご紹介します。
審判離婚が認められたケース
- 1度は離婚に同意した後、気持ちが変わって調停への出頭を拒否したとき
- 実質的に離婚の合意が得られているが、事情があって調停に出頭ができないとき
- 離婚に意義を申し立てるが感情的な反発のみと判断されたことき
- 双方が審判離婚に同意を求めたとき
ただし、一方が審判離婚に意義申し立てがある場合は成立しません。
審判が出たら、2週間以内に家庭裁判所に対して異議申立てをすることで、その審判は効力を失います。
4.裁判離婚
調停での話し合いや裁判所での審判の判決にも合意が出来ない場合に、離婚訴訟を起こすことにより離婚の請求をします。
訴訟を提起する
裁判所へ離婚訴訟の訴状を提出します。
この訴状に裁判にて、どんな内容の判決をして欲しいのか「請求の趣旨」とその理由である「請求の原因」について書きます。
この訴状の1通は裁判所から離婚相手に呼出状と一緒に送付されます。
提訴に必要なもの
離婚裁判の流れ
第1回の期日には指定の法廷に原告、被告の両者が出頭します。
実際には、代理人である弁護士のみが出頭して、裁判を進めるケースがほとんどです。
必要書類を提出して、相手から「答弁書」が提出され法廷で「訴訟」と同じく読み上げられて、裁判所が争点を整理し双方に反論があれば提出するように指示します。
そして、双方の言い分を「準備書類面」という書面にして主張して、食い違いがある点の証拠調べをします。
自分の言い分を裏付けるため事実として、証拠を提示して証明します。

この証拠とは、書類、資料、本人尋問、証人尋問(人証)を指します。
この証明するために必要な証拠は、裁判を有利に進めるたまにできるだけ集めておくことが大切です。
次に、原告本人が対象の「原告本人尋問」と、被告本人が対象の「被告本人尋問」に移ります。
ここで尋問に対する質問(反対尋問)をして、最後に裁判官からの質問があります。
裁判官は本人尋問を重視して判決を出すので、本人尋問はとても大切です。
しかし、本人尋問だけで裁判官が結婚生活のすべてを理解するのは難しいので、結婚生活の概略や破綻した原因を「陳述書」という書類にまとめます。
この「陳述書」をあらじめ裁判官に読んでもらうケースも多いのです。
裁判の結果
裁判の結果は「判決」「和解」「調停」「取下(取り下げ)」があります。
判決で原告勝訴の場合
裁判の判決が出て、原告の請求を認められた場合は勝訴となります。
被告がその判決が納得できない場合、判決書を受け取った日から2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。
和解
裁判中に、裁判官からのすすめで和解をします。
裁判官が間に入り、双方の言い分を聞きながら話し合いをすすめていきます。
そして、双方が納得して和解をすると「和解調書」が作成されて、裁判が終結します。
調停
離婚裁判が提起された場合でも、裁判所の職権で調停にまわされることがあります。
取下(取り下げ)
裁判を提起した本人が、訴えを取り下げた場合も裁判が終わります。
相手が「準備書面」を提出した後に取り下げる場合は、相手の同意も必要です。
今回のまとめ
法律上、「離婚原因」がない場合、原則として離婚が認められません。
離婚を決めたら、証拠の準備や相手との話し合いをした上での解決を目指しましょう。
「調停離婚」では、費用がかかりませんが「裁判離婚」では、弁護士への支払いや印紙代など、裁判が長引いた場合に掛かる費用が高額になりがちです。
費用を踏まえた上で、「裁判離婚」まで争う意思があるなら、事前の証拠集めを徹底しておく必要があります。

いろいろな理由で関係が極度にこじれてしまっている場合は、自分だけで解決することは難しいのです。
あなたを守る法律を利用するために、弁護士に依頼するようにしましょう。