
夫(妻)に正当な理由がない場合、セックスレスでの離婚・慰謝料請求は可能です。
セックスレスになった原因が自身にあった場合は、離婚・慰謝料請求が難しくなる可能性もあります。
目次
1.セックスレスと認められる期間は?
セックスレスと呼べる期間は、1ケ月以上とされています。
しかし、セックスレスが原因で離婚している夫婦間での期間は、約半年から1年が平均です。
このセックスレスには、夫婦関係の継続が困難な理由となるため、我慢できる期間の個人差があります。
よって、セックスレスの期間が1ケ月であっても離婚の理由として認められます。
2.セックスレスになった原因の例
セックスレスには原因がありますので、夫婦間で話し合いをして解決する努力をしてみましょう。
例えば、次にご紹介するA・Bさんのように解決したケースがあります。
Aさん夫婦(夫:33 妻:26)
夫がセックスを避けるようになって半年経ち、妻が浮気を疑うようになり会話も少なくなりケンカが増えてしまった。
このままでは良くないと思った妻から、「どうして、しないの?」と聞いてみた。
夫から「俺から誘ったときに、2回立て続けに断られたから誘えなくなった。」との答えがあった。
夫が自信を無くしたため、妻のほうから誘うようになって夫婦関係も良好に戻った。
Bさん夫婦(夫:29 妻:24)
結婚してから、週に2回が普通だったのに妻が出産後に拒否するようになり、半年セックスレスの状態になった。
夫が「なんで、急にセックスを拒否するようになったの?」と聞いた。
妻から、「慣れない育児と家事で疲れていて、セックスする時間があれば睡眠時間に使いたい。」と答えがかえってきた。
夫婦で話し合い、夫が休みの日は子どもの面倒を5~6時間見るかわりに、月に2回はセックスをする約束をした。
このようにしっかり話し合えば、セックスレスは解決することもあります。
夫婦の営み関係の話題はお互い口に出して相談はしにくいものですが、パートナーとしてやっていく為には見過ごせない大きな問題です。
ところが問題を見過ごし続けると、次のCさんの例のように離婚問題だけでなく慰謝料請求問題へ発展することもあります。
Cさん夫婦(夫:35 妻:32)
1年前くらいから、急にセックスレスになり夫の休日出勤も増えた。
妻が用事があるふりをして、休日出勤している夫の会社に電話をすると「Cさんは、本日出社していません。」と言われた。
探偵に身辺調査を依頼したら、浮気の事実が発覚したので慰謝料をもらって離婚した。

日本人の女性は、自分から誘うことに消極的な傾向があり疑心暗鬼になってしまいがちです。
夫からの誘いがない場合は、自分から誘うことでセックスレスが解消するケースも多いため、試してみることをお勧めします。
セックスレスになった原因が自分にある場合は離婚請求・慰謝料請求が難しい
もしセックスレスで離婚しようか悩んでいる場合、原因が自分にもあると法律的な離婚請求は難しくなります。
例えば、夫がセックスをしてくれなくて悩む妻の場合の例です。
例:妻側にセックスレスの原因があるケース
- 夫が働き詰め、妻は主婦なのに家事・育児を放棄している
- 夫を性的にけなしている
- 夫へ一方的に圧迫感を与えている
- モラルハラスメント・暴力がある
- 異常な性癖がある、それを相手にも強要する

精神的・言葉の暴力、相手を労わらない生活、異常な行動がある場合は、離婚請求をして「セックスレスで」と慰謝料請求をしても認められない可能性が高くなります。
3.セックスレスが原因で離婚するには?
セックスレスが原因で離婚するには、最初は夫婦間で話し合い解決を試みます。
夫婦間で離婚の合意が難しい場合は、第三者(友人・親戚・弁護士)を入れて話し合いをし、それでも解決しないときは、家庭裁判所に”夫婦関係調整調停“の申し立てをします。
夫婦関係調整調停(離婚請求)とは?
夫婦関係調整調停(離婚調停)とは、家庭裁判所で裁判官・調停委員を交えて話し合い、問題を解決するための調停です。
この調停内で主に話し合う内容は、離婚・慰謝料・養育費・子どもの親権や面会交流・財産分与などがあります。

調停がある日は、調停委員・裁判官に好印象を持ってもらうために、華美なものを避けて清潔感のある服装で出かけましょう。
夫婦関係調整調停の手続き
夫婦関係調整調停の申し立て先は、相手の住所地の家庭裁判所か当事者間で合意した家庭裁判所です。
【関連ページ】裁判所の管轄区域
申し立てに必要なものは、下記の通りです。
離婚調停に必要な物
- 収入印紙1200円分
- 郵便切手800円程度(裁判所により違います)
- 夫婦関係調整調停申立書1通またはコピーで可(裁判所で入手可・裁判所のホームページからダウンロードできます)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 資産・財産に関する書類(残高がわかる通帳のコピー・不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書など)※財産分与請求調停も申し立てた場合に必要
- 陳述書(事前に裁判官に、結婚したからの経緯・問題となっていること・自分の希望を伝えるための書類)
- 離婚の原因となった証拠となるもの(今回の場合、性格の不一致が証明できるもの)
【関連ページ】裁判所「夫婦関係調整調停」
この調停では、同時に”財産分与請求調停“を申し立てることで、財産分与の話し合いを進めてくれます
“陳述書“の提出は任意ですが、提出することで調停の流れがスムーズになるので、提出をお勧めします。
今回のまとめ
セックスレスがきっかけで夫婦関係が崩れた場合、夫婦で原因について話し合いをしましょう。
当事者間での問題解決が難しいときは、家庭裁判所に夫婦関係調整調停の申し立てをします。

セックスレスが原因で、夫婦関係がぎこちなくなってしまうケースは沢山あります。
浮気が原因でない場合は、普段のスキンシップを増やすことで、精神的にお互いを大切にできる可能性もあります。
離婚の前に、「精神的な繋がりだけで、この先も一緒に生きていけるか?」を考えてみましょう。