雨宮先生雨宮先生

離婚をすることにより、生活が困難になってしまう場合は“扶養的財産分与”の請求が可能なケースがあります。

夫からの援助が受けられない又は足りなくて生活出来ない場合は、“生活保護”の申請をします。

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1.一般的な財産分与のケース

一般的には、離婚が決まった時点で、夫婦で財産分与の話し合いを進めていきます。

しかし、財産となる預貯金や不動産などの清算できるものが無かったり、多額の住宅ローンがある場合は財産分与をしても清算できるお金が無いこともあります。

持家有、住宅ローンが無い場合の財産分与例

例えば、現在預貯金が300万円と持ち家の売却価格が2000万円の合計2300万円の財産を所持している夫婦がいるとします。

もし住宅ローンや借金がなければ、預貯金と持家の売却価格の合計の半分1150万円ずつを夫婦で分けることになります。

住宅ローンが残っている場合の財産分与の例

住宅のその時の売却額が2000万で、また住宅ローンが2500万円残っている、預貯金が300万の場合。

持家の売却額2000万円と預貯金の300万円を引いても負債が200万円残りますので、夫婦で100万円ずつの負債を分けることになります。

このように、財産分与は負債のみを夫婦で負担することもあるのです。

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離婚時に片方側が「ローンは残っているけど家は欲しい」と言う人もいますが、この場合は住宅の価値の半分を相手側に支払う必要があります。

上記のケースに当てはめると、家を貰う側は家を出ていく側に1000万支払い、加えて住宅ローンの半分の1250万円をローンで支払っていく必要があります。

財産分与には4種類ある!

財産分与と聞くと、財産(金銭・不動産・証券・その他)を分けるという印象が強いと思いますが、実際には以下の4種類に分かれています。

財産分与には4種類ある!

  1. 清算的財産分与(清算できる財産を分ける:不動産・預貯金・有価証券・家具・家財・保険・住宅ローンの負債)
  2. 扶養的財産分与(妻が離婚後の生活が困難な場合に夫に援助を求める権利)
  3. 慰謝料的財産分与(離婚に至った原因に、加害者と被害者がいる場合に請求が可能)
  4. 離婚までの生活費の清算(夫婦は平等な生活水準で暮らす権利があるため、別居中でも生活費の請求をできる権利)
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これらを総合した金額を二人で分け合うことが、本当の財産分与です。
個人でこれらを計算・交渉することは難しいので、専門家にご相談される方が辛い思いをしなくて済みます。

2.離婚後に生活が困難になったときどうすればいい?

離婚後の生活が困難

離婚したことで、妻の生活が困難になる場合には“扶養的財産分与”の請求が可能なケースがあります。

例えば、離婚しても夫は生活に余裕があるのに対し、妻が生活が困難になる場合は扶養的財産分与の請求ができるケースがあります。

扶養的財産分与とは?

財産分与の中に、離婚するとこで妻の生活が苦しくなる場合は、妻が夫に援助を請求できる権利として扶養的財産分与があります。

上記の扶養的財産分与が請求出来るケースは主に下記の通りです。

扶養的財産分与が請求出来るケース

  • 離婚するまで、妻が専業主婦ですぐに仕事を探すのが難しい
  • 離婚時にすでに高齢で、専業主婦だった妻が仕事を探すのが難しい
  • 小さい子どもが居て、すぐに仕事に出ることが難しい
  • 病気や怪我で仕事に就くことが難しい

逆に、扶養的財産分与が請求出来ないケースは下記の通りです。

扶養的財産分与が請求出来ないケース

  • 財産分与で充分な金額を受け取っている
  • 妻(夫)が仕事で充分な収入を得ている又は、復職して相応の収入を得ることが可能である
  • 身内からの援助で生活が出来る(両親の持ち家で同居して、家賃が必要なく生活が出来る・子どもを見てもらい仕事に出れる・金銭的な援助をしてもらえるなど)

扶養的財産分与の請求

夫(妻)に生活費の相談をして援助を受けられ無かった場合は、離婚して早い段階で家庭裁判所に財産分与請求調停を申立てましょう。

調停離婚の場合は、調停時に提出する“陳述書”に現在の収入状況と今後の仕事や生活が困難になることを記載して扶養的財産分与の請求も一緒に行いましょう。

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陳述書とは、調停の申立した時に夫婦の現状・婚姻してから離婚に至った原因・何を希望しているのかなどを、裁判官に事前に説明するための文書のことです。

財産分与請求調停の申立の手続き

財産分与請求調停の手続きは、夫の住所地の家庭裁判所又は夫婦が合意で決めた家庭裁判所へ申立てをします。

家庭裁判所に財産分与請求調停の申立に必要なものは。下記の5項目です。

財産分与請求調停の申立に必要なもの

  1. 収入印紙 1200円分
  2. 郵便切手 800円程度(家庭裁判所によって変わります)
  3. 離婚時の夫婦の戸籍謄本(全部事項証明証:離婚により夫婦の一方が除籍された記載のあるもの)
  4. 夫婦の財産に関する書類(不動産登記事項証明書・固定資産評価証明証・預貯金の通帳又はコピー・有価証券のコピー・美術品や宝飾品の評価額のリストなど)
  5. 陳述書(夫婦のプロフィール・子どものプロフィール・妻が働けない又は充分な収入を稼げない理由・扶養的財産分与を受けたいことをまとめた文書のこと)

扶養的財産分与で貰える金額・支払い方法は?

一般的な扶養的財産分与の支払い方法は、夫に余裕がある場合は他の財産分与と一緒に、一括で支払うこともあります。

夫に余裕がない場合は、毎月の支払いとなります。

最近報告をされている、扶養的財産分与の平均的な金額は月に2~10万円程度となっています。
この金額は、家庭によって夫の収入や事情が違うため金額の幅が出ています。

扶養的財産分与の支払いが突然終わることもある

扶養的財産分与の支払いを受けている側、支払っている側の状況が変わった場合、支払いが突然終了することもあります。

扶養的財産分与の支払いが終了するケース

  • 妻(夫)が自立して生活ができるようになった
  • 生活保護を受けられるようになった
  • 再婚して配偶者に扶養されるようになった
  • 死亡した
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扶養的財産分与を受ける条件は、生活が困窮している場合です。

生活が豊かになっているにも関わらずお金を貰い続けた場合、後でそのことが知られると支払った側に返済する必要があります。

3.財産分与請求調停をする場合、弁護士に相談すべき?

財産分与の話し合いが二人の間だけでスムーズに決められる場合は、弁護士に依頼する必要はありません。

しかし、夫が預貯金の残高を提示しなかったり、扶養的財産分与の相談に応じてくれないケースがあります。

よって、財産分与で損をしないために弁護士に相談することをお勧めします。

最近では、無料で相談が出来る弁護士も多くなっているので、離婚・財産分与を専門で受けている方を探してみて下さい。
弁護士を探す場合は、報酬率や料金が明確で解りやすく提示している・丁寧に説明してくれるところに依頼するのがお勧めです。

4.扶養的財産分与を貰っても生活が苦しいときはどうすればいい?

財産分与を貰っても生活が苦しい

離婚時の財産分与が無くて、扶養的財産分与で夫から毎月支払ってもらっても、病気や働けない事情があり生活が苦しいケースもあります。

この場合、住所地の近くにある役所の福祉課に“生活保護”の相談をしましょう。

生活保護の支給条件は?

生活保護は、収入が少ないという条件だけでは支給されません。現在では、支給前に色々な審査があります。

生活保護を受給できるケースは下記の通りです。

生活保護を受給できるケース

  • すぐに働く事が難しい(小さな子どもの監護・病気や怪我)
  • 本人・同居人に一定額以上の預貯金や不動産や資産が無い
  • 身内からの援助が望めない(両親・兄弟・親戚などからの援助があっても、最低生活水準に満たない場合)
  • 車を所持(現在は、地域によっては他の交通手段が無く、生活条するために必要と認められた場合は所持していても生活保護の受給が認められています)

生活保護が受給できないケースは下記の通りです。

生活保護が受給できないケース

  • すぐに働くのは難しいが預貯金や不動産を持っている(本人又は同居人が持っている場合どちらも受給の対象にならない)
  • 身内からの援助が受けられる(例:両親・兄弟・元夫から、月に充分な金銭的援助を受けている)
  • 車を所持している(車が無くても、他の交通機関での移動が可能な地域の場合)

生活保護の申請の手続き方法

生活保護の申請は、住所地のある役所の福祉課で行えます。

審査のために必要な書類を提出して、家庭訪問で面接を受けて約2週間~1ケ月後に結果が有すにて通知されます。
受給の通知がきたら、申請した役所の福祉課に必要書類(口座受け取りにする場合は通帳・印鑑など)を持って手続きに行きます。

生活保護の申請に必要なものは、下記の通りです。

生活保護の申請に必要なもの

  • 生活保護の申請書 1通(役所にて入手できます。役所のHPからダウンロードも可能)
  • 収入報告書
  • 資産報告書
  • 預金通帳
  • 年金手帳
  • 同意書(収入・資産を調査するために関連機構に報告を求めることに同意をする書類)

【関連ページ】厚生労働省生活保護制度について


今回のまとめ

離婚時に充分な財産分与がなく、その後の生活が困難になる場合は、”扶養的財産分与”の請求ができます。

しかし、夫に充分な収入が無かったり、住宅ローンの返済で余裕が無い場合は”生活保護”の申請をして下さい。

生活保護は申請してから受給の通知まで、約2週間~1ケ月くらいの期間が必要なので、早めの手続きをお勧めします。

雨宮先生雨宮先生

遠慮して生活保護を受けない、受けたくないと思う人もいますが、国民に保障された制度です。
生活が困窮していると、子供にとっても良くありませんので、生活保護を受けるよう申請してみましょう。