
正当な理由がなく離婚前に別居すると、慰謝料の請求が難しくなることがあります。
理由があって別居する場合は、証拠になるものを集めておきましょう。
目次
1.離婚前別居の正当な理由とは?
離婚前に別居をしても“正当な理由”があれば、慰謝料の請求で不利になることはありません。
別居する前から、夫婦仲が破綻していたことを証明できればいいのです。
離婚前に別居をしても、正当と認められるケースは下記の通りです。
離婚前別居の正当な理由
- 夫からの暴力・暴言
- 夫の過剰な飲酒
- 夫の浮気相手からの嫌がらせ(自宅あてに無言電話・FAXが届くなど)
- 夫婦が合意の上での別居(夫も別居した方がいいと判断した場合。)
2.提出できる証拠を手に入れる
慰謝料の請求時に、別居した正当な理由を説明するときに証拠の提出を求められる可能性があります。
別居前に、証拠となるものを手に入れておくことをお勧めします。
証拠として認められるもの
離婚前別居の正当な理由となる証拠
- DVの被害にあったときの写真(アザ・傷など)や医師の診断書
- モラスハラスメントを録音したもの。(夫との会話を録音したもの)
- 飲酒による暴力や暴言などを証明できるもの(怪我やアザの写真・医師の診断書・暴言を録音したもの)
- 嫌がらせのメール(夫や夫の浮気相手からのもの)
- 不貞(浮気)の証拠メール(夫の携帯に入っている場合は、転送するか画面の写真を撮っておきます)
- 夫が別居に同意した書類(別居を決めたときに書いてもらいましょう。同意したことが解る内容と署名・押印が必要です)
3.正当な理由がない場合は慰謝料請求が難しい
離婚前に正当な理由がなく別居した場合、「悪意の遺棄」とみなされます。
「悪意の遺棄」とは、民法で定められている”夫婦は同居して、お互いに協力・扶助し合わなければならない”ことに対して、理由なく努力を怠る行為のことです。
自分の都合で家を出る行為も「悪意の遺棄」の1つで離婚理由にもなります。
そのため、正当な理由がない別居は慰謝料の請求で不利になる可能性があるので、注意が必要です。

つまり、離婚前別居する証拠が無いうえ、さらに自分の一方的な理由での別居や離婚では、慰謝料の請求が難しくなります。
ただし相手が「悪意の遺棄」に当てはまる場合も別居理由・慰謝料請求できる
ただし、相手側が「悪意の遺棄」に当てはまる場合は、離婚前別居をして慰謝料請求できる可能性があります。
悪意の遺棄に当てはまる行為!
- 理由もなく、夫(妻)に何も告げないで家を出た
- 浮気相手と暮らして家に帰らない
- 姑との不仲が原因で実家から帰らない
- 家出を繰り返す
- 健康な夫が働こうとしない
- 夫が生活費を出さない
- 夫(妻)が嫌がらせをして家から追い出そうとする
- 単身赴任中の夫が妻子に生活費を送らない。

相手が上記に当てはまる場合は、正当な離婚前別居理由になりますし、慰謝料請求できる可能性も高くなります。
ですが、もし自分も上記に当てはまる行為をしている場合、慰謝料請求は難しくなります。
たまに「やってることはお互い様」という状況なのに、片方が一方的に慰謝料請求をしたいと申し出するケースがありますが、これは認められません。
4.慰謝料の請求の時効について
法律で、慰謝料を請求する時効が決まっています。
この時効の期限は、「慰謝料の原因が発生した日から、3年以内」又は、「離婚した日から3年以内」と決まっているのです。
例えば、離婚の原因が夫の浮気だった場合、離婚後3年以内に夫に慰謝料の請求ができます。
しかし、浮気相手に慰謝料を請求する場合は、「不貞行為が判明した日から3年以内」に請求する必要があるので注意しましょう。
5.別居に向けて固有財産を確保する
別居が決まったら、家から持っていくものを決めましょう。
現在、夫と冷静に話し合いをできる関係であっても、別居してからも良好な関係が続くとは限らないのです。
「別居後に、個人の所有物を取りに行きたいと夫に頼んだら拒否された!」という経験をした方も少なくありません。
ですから、別居時に持っていくものをきちんと決めておくことが重要です。
結婚前から持っていた個人の所有物や預貯金は、財産分与の対象にはなりませんので、持ち出しても大丈夫です。
しかし、結婚してから購入したものや増えた預貯金は、勝手に持ち出すと離婚時にもめる原因になるので注意しましょう。
もし話し合いで解決しない場合は、財産分与請求の調停を行えば、斬さんの半分を獲得することが出来ます。
今回のまとめ
離婚前に別居をしても、正当な理由があれば慰謝料の請求ができます。
しかし、夫に黙って家を出ると離婚時にもめる原因となるので、納得してもらってから別居することをお勧めします。
ですが、「DVが怖くて夫に言えない」「夫に話しかけても無視される・罵倒される」などの場合は、その行為を証明するものを手に入れておくことが大切です。

慰謝料請求や財産分与請求をする場合、口頭だけのやり取りだと証拠となる書類などが無いため、後から何が起こるか分かりません。
お金が絡む問題はなるべく弁護士に間に入ってもらって、法律を利用してしっかりと話をまとめることも大切です。