
内縁関係を認められれば、慰謝料や財産分与を請求できます。
しかし、婚姻の意思がなく同棲をしていただけでは請求が難しくなります。
目次
1.どんな場合に内縁関係と認められる?
内縁関係(事実婚)とは、具体的にどんな規定になっているのでしょうか。法律では定まっていませんが、過去の裁判の判例では次のように解釈されています。
内縁関係とは?
婚姻届けを出していない場合でも、結婚する意思があって夫婦として一緒に暮らしていて、社会的にも夫婦として認められていること
それでは次に、内縁関係と認められるため必要な具体的条件をご紹介しましょう。
内縁関係と認められる条件
- 結婚の意思があって、一緒に暮らしている
- 性的関係が継続的にある
- 周囲に紹介している
- 婚姻届を出していなくても、披露宴をしている
- “重婚的内縁”
※婚姻の意思がなく同棲しているだけでは内縁関係を認められません。

重婚的内縁とは、一方が既婚の場合、その夫婦関係が破綻しても離婚に応じてもらえずに結婚ができない場合のことです。
ですが、前の夫婦関係が10年以上全くない事などの制限があります。
2.内縁関係での慰謝料・財産分与の請求について
内縁関係(事実婚)であっても、慰謝料・財産分与の請求が可能です。
もし当事者間での話し合いで解決できない場合は、第三者(友人・親戚・弁護士)に入ってもらいます。
それでも解決しない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをします。
家庭裁判所に内縁関係調整調停を申し立てる
家庭裁判所では、内縁関係でも夫婦と同じ調停の申し立てができます。
それが、“内縁関係調整調停”です。
内縁関係調整調停とは?
内縁関係調整調停とは、家庭裁判所で当事者2人と裁判官・調停委員を交えて問題を解決するための話し合いの場です。
当事者だけでは、感情的になって話し合いが進まない場合でも、知識があり冷静な裁判官の提示する妥協案やアドバイスによって解決することができやすくなります。
内縁関係調整調停の申し立ての手続き方法
内縁関係調整調停の申し立て先は、相手の住所地にある家庭裁判所か双方が合意した家庭裁判所です。
【関連ページ】裁判所の管轄区域
調停の申し立てに必要なものは、下記の通りです。
内縁関係調整調停の申し立てに必要なもの
- 収入印紙1200円分
- 郵便切手800円分(裁判所によって変わります)
- 申立書 1通(写しでも可)
- 双方に関わる財産に関する書類(固定資産評価証明書・不動産登記事項証明書・預金通帳又は残高の写しなど)
- 陳述書(双方のプロフィール・内縁関係になってから現在までの経緯・内縁関係を解消することになった原因・財産分与や慰謝料について希望することなど)
※審理に必要と判断された場合、追加で書類提出を求められる可能性があります。
【関連ページ】裁判所「内縁関係調整調停」
3.弁護士に依頼するべき?
内縁関係調整調停を申し立てる時に、財産分与・慰謝料の請求で損をしないために、弁護士への依頼も重要になります。
なぜなら、内縁の夫が理不尽な取り決めを強引に進めようとしても、あなたの権利を主張して守ってくれるからです。
その他のメリットは、弁護士に代理で調停に出頭してもらい夫と顔を合わせなくすむことや、面倒な書類作成・手続きをしてもらえます。
しかし、弁護士への依頼費用は50万円前後になりますので、財産分与・慰謝料の金額と比べて下回る可能性があるときは、注意して下さい。
信頼できる弁護士の探し方
弁護士を探すと言っても、電話帳などで適当に探してはいけません。
中には高圧的で分かりにくく説明する弁護士がいたり、仕事をしっかり行わない弁護士もいます。
よって、信頼できる弁護士を探す為に、次の事に気を付けましょう。
信頼できる弁護士を見つけるポイント
- ホームページに大体の費用が提示されている
- 無料相談を受け付けている
- 財産分与・離婚の案件を専門にしている
- 実際に会って、難しい言葉ばかりを使わずに、何度でも理解できるまで説明をしてくれる
今回のまとめ
内縁関係でも、慰謝料・財産分与の権利があります。
当事者での話し合いで慰謝料・財産分与の話し合いが解決しない場合は、内縁関係調整調停を申し立てます。
自分にとって弁護士に依頼するメリットがある場合は、気軽に相談ができる無料相談をしている弁護士に実際に足を運んでみてください。

前の夫婦関係が破たんして数年では、内縁関係と認められるのは難しい状況です。
10年ほど経過していれば、内縁関係と認められる可能性はかなり高くなります。