
家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てると、DV(ドメスティックバイオレンス)の夫と直接会わずにすむように、家庭裁判所が配慮してくれます。
目次
1.夫のDVが原因で離婚したいが、会わずに離婚できる?
夫と会わずに離婚する方法はあります。
そのためには、家庭裁判所に”夫婦関係調整調停(離婚調停)“を申し立てる必要があります。
ただし、DVの夫(妻)との離婚は、当事者間での協議離婚はこじれてしまう可能性が高いので注意しましょう。
どうしても直接会う必要があるときは、公衆の面前での面会を心掛けてください。
2.夫婦関係調整調停(離婚調停)とは?
夫婦関係調整調停とは、家庭裁判所で裁判官・調停委員を交えて問題点について助言・妥協点について話し合い解決するための調停です。
DV離婚で夫婦関係調整調停(離婚調停)をするメリットは?
DVで苦しんでいる場合、離婚調停をするメリットは様々です。
第三者に助けを求められるので、積極的に活用しましょう。
離婚調停を活用するメリット
- 夫(妻)のDV・モラルハラスメントが酷いとき、別室にて調停委員が事情を聞いてくれる(夫・妻との面会の必要がない)ため、直接会わずに調停が進められます。
※”進行に関する連絡表”に相手からDVを受けていることを記載しておく必要があります。 - 自身の住所・連絡先などを非開示にもできます。(現在、別居中の場合その住所を知られたくない場合、夫(妻)に知られずにすむ)
- 裁判官が法律に基づいた、常識的な解決法・妥協点を提示してくれる
- 常識的な見解をもつ、調停委員が事情を聞いてくれる
- 代理人として、弁護士に出廷してもらうことが可能(調停の生き帰りに、夫(妻)に会う危険を避けられる)

夫(妻)が離婚を望んでいない・ストーカー化している場合は、弁護士への依頼も考慮しましょう。家庭裁判所から帰るときに、後をつけられて住所が知られる恐れがあるためです。
夫婦関係調整調停(離婚調停)の手続き
この離婚調停の申し立て先は、相手の住所地にある家庭裁判所か当事者間で合意した家庭裁判所になります。
【関連ページ】裁判所の管轄区域
申し立てに必要なものは、下記の通りです。
離婚調停申し立てに必要な物
- 収入印紙1200円分
- 郵便切手800円程度(裁判所により違います)
- 夫婦関係調整調停申立書1通またはコピーでも可(裁判所で入手tするか裁判所ホームページからダウンロードします)
- 陳述書(裁判官に調停前に、自分達の結婚から現在までの経緯・離婚原因・自分が望んでいることなどを読んでもらうためのものです)
- DVの証拠(写真・日記・医師の診断書など)
- 非開示の希望に関する申出書(別居している場合、現在の住所・連絡先を夫に分からないようにできます)
【関連ページ】裁判所「夫婦関係調整調停」
また、離婚調停と同時に財産分与請求の申し立ても可能です。財産分与とは、結婚してから築いた財産は離婚時に半分に分けるものです。
さらに相手にDVなどの離婚原因がある場合は、財産を多めに受け取れる可能性もあります。
財産分与調停申し立てに必要な物
- 収入印紙1200円分
- 郵便切手800円程度(裁判所により違います)
- 財産分与請求申立書1通またはコピーで可(裁判所で入手するか裁判所ホームページからダウンロードします)
- 資産・財産に関する書類(残高が分かる通帳のコピー・不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書など)
【関連ページ】裁判所「財産分与請求調停」

財産分与は離婚後でも可能ですが、離婚後の新生活を送る為に離婚請求と同時に行う事をお勧めします。
離婚後だと財産を隠されたり、一方的に処分してうやむやにされる可能性もありますし、2年という時効もあります。
3.夫婦関係調整調停の申し立て前に、DVの証拠を揃えておきましょう
夫婦間関係調整調停の申し立て前に、夫のDVの証拠を提出する準備をしておきます。
例えば次のようなことです。
DVの証拠を確保しておく!
- 日記の証拠となる部分をコピーする
- DVでした怪我を撮った写真(携帯・スマホの中にある場合、プリントアウトしておく)
- DVが原因の怪我で診療してもらった医師に、診断書を書いてもらう
- DVの内容がわかるメールのやりとりをプリントアウトする

その他にDVの証拠になるものとして、最寄の警察署の生活安全課にDVの相談をした際に残る“相談カード“があります。
4.夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てる場合、弁護士を探すべき?
離婚の原因が夫のDVにある場合、信頼できる弁護士を探して依頼することを、お勧めします。
なぜなら、被害者である妻は直接会わなくても精神的に消耗したり・萎縮してしまって相手の条件を呑んでしまう可能性もあるからです。
よって、代理人として弁護士に出廷してもらうことが重要です。

費用面を心配される方が多いですが、財産分与である程度のお金を得た中から支払われるケースが多い状況です。
費用はかかってしまいますが、自分の身を守ることの方が大切です。
離婚調停に強い弁護士に依頼しましょう
弁護士選びに重要なのは、離婚に強い弁護士に依頼することです。
費用だけを重視して、急いで弁護士を決めてしまい粗悪な仕事をされて離婚できなかったとの報告もあるため、注意が必要です。
弁護士選びのポイントは、下記の通りです。
良い弁護士選びのポイント
- 離婚案件を中心・専門に受けている
- 無料相談を行っている(まず、直接会って弁護士の人間性を確かめるため)
- 必要な費用を分かりやすく説明してくれる
- 自分が相談・話しやすい相手
- 納得できるまで、何回も説明してくれる(難しい専門用語を使い、上から目線の方はさけましょう)

実際に自分で何人か、会ってから決めるのが重要です。
費用の比較もできるので、3人以上に会ってから依頼する方を決めましょう。
今回のまとめ
夫のDVが酷い場合、家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申し立てます。
夫婦関係調整調停の申し立て時に、”進行に関する連絡表”にDVのことを記入しておくと、裁判所が会わずにすむよう配慮してくれます。
調停前に、DVの証拠を提出するための準備をしておきましょう。
弁護士への依頼は、実際に数人に会ってから依頼をし、調停で代理人として出廷してもらいます。

夫のDVが酷い場合、離婚を待たずに別居を急ぐ必要があります。身体だけでなく精神的にも酷い傷を受けているからです。
金銭的に別居が難しいときは、役所の福祉課・警察署の生活安全課に相談してみましょう。一時的に保護してもらえる可能性があります。
DVの加害者と距離を置いて、自分自身を守ることが重要です。