
離婚後も持ち家(マイホーム)にそのまま住むためには、夫婦で協議して夫の同意をとる必要があります。
賃貸物件は管理会社や借主へ報告をして承認されれば、名義変更をしてそのまま住むことができます。
目次
1.持家(マイホーム)にそのまま住むのに必要な手続きは?
離婚後も持ち家にそのまま住む場合は、家の名義を夫から妻に変更する手続きが必要になります。
この場合、問題になりやすいのは住宅ローンが残っている場合です。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている状態での名義変更には、銀行の承諾が必要です。
しかし、ローンの支払い主と違う人物が名義人になることは、基本的に承諾されません。
よって、住宅ローンを完済してから名義変更の手続きになります。
この場合は、住宅ローンを完済した夫が「やっぱり家は渡さない」「売却をして入ったお金の半分が欲しい」などと意見を変える可能性もあります。
協議離婚の場合は、財産分与の内容を決定したときに“公正証書”の作成をお勧めします。
公正証書とは?
公正証書とは公証人が作成するもので、「この書類の内容を守らなかった場合は、裁判を起こさなくても強制的に執行をできる権限を持つもの」です。
しかし調停離婚(家庭裁判所の調停で離婚した)の場合は、裁判所から通知された”調停調書”があるので公正証書作成の必要はありません。

公正証書を作成する場合“執行承諾約款”の記載のあるものを依頼して下さい。
執行承諾約款の記載がないものは、強制執行(差押さえ)ができないので注意しましょう。
公正証書はどうやって作成する?
公正証書の手続きは、お近くの公証役場にて作成を依頼します。
事前に当事者で財産分与の内容と取り決めを書類にまとめておきます。
公正証書のは不動産の価値によって変動します。(例:3000万円までなら23000円など)
公正証書の作成に必要な書類は下記の通りです。
公正証書の作成に必要な書類
- 認印と運転免許証(又は、顔写真のある本人確認ができるもの)
- 上記の顔写真が確認できるものがない場合は、印鑑証明書と実印
- 本人が行けない場合は、実印が押された委任状
- 印鑑証明書
- 公正証書原案の写しと合意書を2枚並べて実印で割印を押します。(2枚はホチキスでまとめておきます。)
【関連ページ】国公証役場所在地一覧
住宅ローンを完済している場合
夫名義・夫婦共同名義から妻単独の名義に変更する手続きをします。
一般的に、お近くの司法書士に依頼をします。平均的な費用は、5~8万円ほどです。
名義変更に必要な物
- 名義変更に必要なものは下記の通りです。
- 登記識別情報通知(登記済権利証)
- 印鑑証明(現名義人のもの・発行から3ケ月以内のもの)
- 住民票(新しく名義人となる人のもの)
- 固定資産評価証明証(名義変更をする年度のもの)
- 離婚協議書
- 財産分与契約書(財産分与が証明できる内容のもの)
- 戸籍謄本(離婚の記載があるもの)

ただし、名義変更は離婚してからすることになります。
2.賃貸物件にそのまま住むために必要な手続きは?
賃貸物件にそのまま住むためには、賃貸契約の名義の変更をする必要があります。
まず、管理会社・大家さんに「離婚したので、名義変更をしたい」と相談する必要があります。
この場合、管理会社・大家さんによって名義変更か新契約となるか変わってきます。名義変更の手数料は、平均して2万~家賃1ケ月分です。
しかし、新契約扱いであれば敷金・礼金・手数料が別途必要になる場合もあります。(この場合の敷金の戻りが、旧名義人に返還されます)

夫に敷金を譲渡する書類を作成してもらえれば、敷金が必要ない場合もあります。
このケースでは、手数料のみで契約者の名義変更をしてもらえることが多いとの報告があります。
また、家賃の支払いを度々滞納していたりすると審査などが厳しくなる可能性があります。
賃貸物件の名義変更に必要なもの
賃貸物件の名義変更に必要なもの
- 名義変更の申込書(不動産業者や大家さんからもらいます)
- 新しい名義人の収入に関する書類(所得証明・社会保険証など)
- 本人確認ができるもの(運転免許証・パスポートなど)
※審査に必要とされる書類を追加で請求される可能性があります。
今回のまとめ
離婚後も現在の持家(マイホーム)にそのまま住むことは可能です。
しかし、住宅ローンが残っている場合は完済後に名義変更となる可能性があります。
賃貸契約の場合は、連帯保証人も必要になるので手続きの前に依頼をしておきましょう。

マイホームでローンが残っている場合、名義が夫になっているとローン支払者変更のために銀行の了承を得たり、ローン保険の手続きなどハードルが高くなります。
離婚案件が得意な弁護士にご相談されることをお勧めします。